本屋大賞は毎年4月に発表されます。「全国書店員が選んだいちばん売りたい本」というキャッチコピーのもと、本屋大賞は決定します。本屋大賞に選ばれた作品は、ほとんどが映画化やドラマ化され、本にまつわる賞の中でも最も話題になる賞の1つとなりました。
ここでは、本屋大賞の選考方法や、直木賞や芥川賞との違いなど本屋大賞の豆知識をまとめました。過去の受賞作品も紹介しますので、まだ読んでいない方はぜひこの機会に手にとってみてください。それでは、早速みていきましょう。
本屋大賞とは?
本屋大賞とは、「全国書店員が選んだいちばん。売りたい本」というキャッチコピーの通り、全国の書店員が選ぶ賞です。
パートやアルバイトなど関係なく書店員であればよくて、売り場からベストセラーをつくるというコンセプトのもと、書店員の投票によって本屋大賞が決まります。
新刊書を扱う書店で働いていれば投票する権利があり、純粋に書店員が売りたい本、オススメしたい本を選んで投票できるのが特徴です。
選考方法
1.まず1次投票が行われ、1人3作品を選びます。
2.1次投票の集計結果で、10作品がノミネートされます。
3.2次投票では、ノミネートされた10作品を全て読む。
4.10作品の中から1~3位と順位をつけて、推薦理由を記載し投票する。
5.2次投票の集計結果で、本屋大賞が決定。
参考までに2014年の本屋大賞では、1次投票で479書店が参加し605人が投票しました。2次投票では330書店が参加、386人が投票し、本屋大賞が決定されました。
なぜ本屋大賞ができたのか?
本屋大賞ができた背景には、出版不況が大きく影響しています。出版業界は若者の本離れもあり、年々売上規模は縮小しています。出版される本は年々増えているにもかかわらず、売上は伸びないというのが出版業界の現状です。
1990年台半ばをピークに、長期的に低落傾向が続いています。だから出版業界を盛り上げようと、本屋大賞ができました。賞をつくることで世間からも注目され、大賞をとれば注目度も増し、ベストセラーになり映像化もされる。
本屋大賞は一種のイベント、出版業界の祭りなのです。
本屋大賞の過去大賞作品は、ほとんどが映像化され映画やドラマになっていますし、2013年本屋大賞の「海賊と呼ばれた男」は190万部を突破し、大ベストセラーになっています。
直木賞や芥川賞との違いは?
大きな違いは、賞の歴史と作品を玄人が選ぶかどうかです。
直木賞や芥川賞は1935年にできた賞で歴史があります。選考委員は、玄人すなわち重鎮の方たちで、過去には川端康成など、そうそうたるメンバーがいました。
その点、本屋大賞は2004年と歴史も浅く全国の書店で働く店員の投票で決まります。なので選考の過程で根回しやすり合わせはなく、「売り場からベストセラーをつくる」という現場の声が反映されやすい賞ともいえます。
ちなみに2013年に本屋大賞を受賞した百田尚樹は、「直木賞なんかよりもはるかに素晴らしい、文学賞の中で最高の賞だ」と本屋大賞を賞賛しています。
過去の本屋大賞
過去の本屋大賞を紹介していきます。どれも本屋さんが売りたい本ということで、名作ぞろいです。ぜひ手にとって読書にふけませんか?
2016年本屋大賞(第13回)
「羊と鋼の森」宮下奈都
2015年本屋大賞(第12回)
「鹿の王」上橋菜穂子
2014年本屋大賞(第11回)
「村上海賊の娘」和田竜
2013年本屋大賞(第10回)
「海賊とよばれた男」百田尚樹
2012年本屋大賞(第9回)
「舟を編む」三浦しをん
2011年本屋大賞(第8回)
「謎解きはディナーのあとで」東川篤哉
2010年本屋大賞(第7回)
「天地明察」沖方丁
2009年本屋大賞(第6回)
「告白」湊かなえ
2008年本屋大賞(第5回)
「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎
2007年本屋大賞(第4回)
「一瞬の風になれ」佐藤多佳子
2006年本屋大賞(第3回)
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」リリー・フランキー
2005年本屋大賞(第2回)
「夜のピクニック」恩田陸
2004年本屋大賞(第1回)
「博士の愛した数式」小川洋子
本屋大賞の過去大賞作品をみてみると、映像化された作品ばかりですね。出版業界の不況を考えると、ドラマや映画などへ展開していくことも必要かもしれません。映像をきっかけに、原作の本を読むことも増えますしね。
本屋大賞は売上部数が伸びる賞ともいわれており、出版業界を盛り上げています。今後も出版業界を活発化させる賞になるでしょう。