ノーベル賞は、今から100年以上も前に発明家、科学者として活躍したアルフレッド・ノーベルによってつくられました。毎年日本人も候補にあがるなど、世界中で注目され、最も威厳と歴史のある賞の1つになりました。
今回はノーベル賞の豆知識から賞金の金額、受賞条件や選考方法を徹底紹介! そのほか、これまでの日本人受賞者なども、あわせてお伝えしますね。だれでも!? チャンスがあるノーベル賞。早速みていきましょう。
アルフレッド・ノーベルはどんな人?
ノーベル賞をつくったのは、スウェーデン出身のアルフレッド・ノーベルです。ノーベルは、1833年にスウェーデンのストックホルムで生まれました。
発明家で建築家であった父親の影響で、工業科学に興味をもち、30歳のときには、なんとダイナマイトを発明しました。だれでも安全にあつかえるダイナマイトは、主に工事現場で使われるようになり、大人気となりました。
そのおかげで、ノーベルは莫大なお金を手に入れることになり、事業に成功したノーベルの遺産は200億円以上にもなったんですよ。
ダイナマイトで巨万の富を得たことから、ダイナマイト王とも呼ばれています。ダイナマイトは有名ですが、まさかノーベル賞とは結びつかないですよね。
ノーベル賞の誕生秘話
大金持ちになったノーベルは、この莫大なお金を有効活用するために、亡くなる7年も前から遺言を考えます。
その遺言には…
人類に貢献した人に毎年賞金を送る
とあります。
そうなんです。この遺言から生まれたのが「ノーベル賞」なんです!
ノーベル賞の各部門は、人の役に立つと思われる分野だけに絞られており、アルフレッド・ノーベルの遺言にしたがってつくられているんですよ。ノーベル賞は6部門に分かれていますが、全て人の役に立つ分野ばかりです。
2.化学賞
3.生理学・医学賞
4.文学賞
5.平和賞
6.経済学賞
人類の発展を強く願った科学の賞である「物理学」「化学」「生理学・医学」、文学も人類に貢献すると考えた「文学」、ダイナマイトが戦争に使われることに心を傷め平和を強く望んだ「平和」、そして、1968年につくられた「経済学」の6部門となります。
受賞者の条件は?
ノーベル賞の受賞者について、じつは条件はありません。人種や国籍、年齢や学歴、性別などは問題にされず、つまり業績さえあれば、だれでも受賞できる賞がノーベル賞なんです。
唯一条件と呼べるものは、「生きていること」ぐらいです。死んだ人ではなく、今生きている人に賞を送るということが決められています。死んでからではなく、生きているうちにノーベル賞を渡すというのが条件なんですよ。
また、受賞回数の決まりもないため、同じ人が何度も受賞することが可能です。キュリー夫人は物理学賞、化学賞を受賞していますし、ボーリングも化学賞と平和賞を受賞しています。
選考方法は?
選考は、ノーベル委員会から依頼を受けて候補者を推薦する「推薦人」が推薦状を送ることから始まります。受賞者選びはいっさい秘密となっており、推薦人や候補にあがった人も公表されることはありません。
推薦状を受取ったノーベル委員会は、1次審査を行い候補者を絞り込みます。そこから各分野の専門家に意見を聞き、詳しい調査を始め最終的に十数人まで候補者を絞り、最後は多数決で受賞者を決定します!
毎年10月、全世界に発表されますが、受賞者には委員会から直接電話をかけて伝えられるんですよ。
賞金はいくら?
ノーベル賞の賞金額は、スウェーデン通貨で1000万クローネと決まっています。1つの部門で1000万クローネとなっているため、同部門に2人受賞者がいれば、賞金は分けられます。
日本円に換算すると約1億4000万円で、ノーベルの遺産を管理するノーベル財団から支払われます。
また、賞金と一緒にノーベルの顔が描かれた金メダルも手渡されます。全てのメダルの表には、この賞をつくったノーベルの肖像画が描かれ、裏側は、それぞれの賞によりデザインが違います。各賞を象徴する絵が描かれており、文学賞は女性の詩を書き留める若者が描かれています。
ノーベルの命日である12月10日に、ストックホルムにある式場でスウェーデン国王から賞状と金メダルが直接手渡されます。
※平和賞だけはノルウェーのオスロー市庁舎で授賞式が行わます。
賞金1000万クローネは高い、安いの賛否はありますが、ノーベル賞は名誉高き権威のある賞ですので、受賞者にとって賞金の額はあまり関係ないかもしれませんね。
世界が認めた日本人受賞者!
ノーベル賞を受賞した世界が認めた日本人を見ていきましょう!
受賞年 | 受賞者 | 受賞理由 |
---|---|---|
1949 | 湯川秀樹 | 物理学賞:新しい素粒子の存在を予測 |
1965 | 朝永振一郎 | 物理学賞:量子力学の基本を完成 |
1968 | 川端康成 | 文学賞 |
1973 | 江崎玲於奈 | 物理学賞:エサキ・ダイオードを発明 |
1974 | 佐藤栄作 | 平和賞:沖縄返還 |
1981 | 福井謙一 | 化学賞:化学反応の謎解き |
1987 | 利根川進 | 生理学・医学賞:免疫の謎解き |
1994 | 大江健三郎 | 文学賞 |
2000 | 白川英樹 | 化学賞:電気を通すプラスチックを発明 |
2001 | 野依良治 | 化学賞:分子のつくり分け |
2002 | 小柴昌俊 | 物理学賞:ニュートリノの観測 |
2002 | 田中耕一 | 化学賞:タンパク質を量る方法を発見 |
2008 | 南部陽一郎 | 物理学賞:モノの重さの謎解き |
2008 | 益川敏英 | 物理学賞:クォーク6種類の予言 |
2008 | 小林誠 | 物理学賞:クォーク6種類の予言 |
2008 | 下村脩 | 化学賞:クラゲから光るタンパク質発見 |
2010 | 鈴木章 | 化学賞:クロスカップリングの開発 |
2010 | 根岸英一 | 化学賞:クロスカップリングの開発 |
2012 | 山中伸弥 | 生理学・医学賞:iPS細胞の開発 |
2014 | 赤崎勇 | 物理学賞:青色LEDの開発 |
2014 | 天野浩 | 物理学賞:青色LEDの開発 |
2014 | 中村修二 | 物理学賞:青色LEDの開発 |
2015 | 大村智 | 生理学・医学賞:熱帯感染症の治療法を発見 |
2015 | 梶田隆章 | 物理学賞:素粒子ニュートリノの質量発見 |
2016 | 大隅良典 | 生理学・医学賞:オートファジーの仕組みの解明 |
日本人のノーベル賞受賞者は、物理学賞11名、化学賞7名、生理学・医学賞4名、文学賞2名、平和賞1名の合計25名となっています。
世界で一番受賞者が多いのはアメリカで、イギリス、ドイツと続きます。アメリカが305です。ちなみに最年少受賞者は25歳で、最高齢は90歳です。
ノーベル賞は「すごい発見や人類の役に立つ大きな功績を残した人」で歴史に名前が残る偉大な賞です。
しかし、受賞者は特別な才能を持った人ばかりではありません。2008年に受賞した下村脩はこのように言っています。
「ぼくは、実験が本当にヘタクソなんだ。実験は100回中99回は上手くいかなかったが、決してあきらめなかった。どこが間違っているのかを考え、反省して次の実験に活かす。あきらめない。これがいちばん大切だと思う」
天才が受賞するわけではないノーベル賞。今年も受賞者に注目してみましょう!